甘木朝倉 美酒の会

〜日本酒の真価〜  Vol4

春4月、新年度 新入学 新入社などあわただしい日々が続くこの頃、いかがお過ごしでしょうか?桜は散っても菜の花
見物で一杯やれるポカポカ陽気で気分のいい日本酒の美味しい4月です。毎月言ってるようですが今月も日本酒はやっ
ぱり美味い、果物をつまみに一杯やるのもなかなかいい。果物と言えば今の季節はイチゴ。イチゴと言えば杷木町のイ
チゴが美味い。“彩饗香”(林嘉郎氏)のさちのかは甘みが格別で非常に美味い。あと、熊木いちご園のくまさんイチゴも
酸味がいい塩梅でなかなかいいです。これをつまみにこの前まだ紹介してない酒で一杯飲みましたがなかなかよかった
です。しかし今号では、今の私の気分と体調で肉料理に良く合う日本酒を紹介しますのでお楽しみに。さて先月号では
麹について触れてみましたが、もうひとつ日本酒にかかせない酵母について今回触れてみたいと思います。


酵母で味がどれ位変わるか、日本酒醸造に絶対必要な微生物は麹菌と酵母菌である。麹菌は前回触れた通りで麹の設計で
酒質は大きく変わりますが、一方酵母にもいろいろな種類が有り種類によって異なる特徴(低温性、高温性、生成酸量の多少、
発酵能力の強弱、香気の種類など)を持つ。これらは、白米の精白度や発酵温度経過などが一定の条件であれば、そのまま
酒質に影響を与える。そのため目標酒質や蔵内の気象条件などを考慮して使用酵母を選ぶ必要がある。ただ端的にまとめると
酒の味は麹に、香りは酵母に依存するところが大と言えるでしょう。近年、とくに吟醸酒や純米酒向けの香気成分生成能力の
極めて高い酵母が各県単位の研究機関で盛んに育成・開発されて話題を呼んでいる。こうした傾向は嗜好品としての日本酒の
楽しみを広げ、いわゆる地酒の振興に貢献しているといってもいいでしょう。代表的な酵母で熊本の“香露”から分離された協会
9号酵母は、低温でも発酵力が強く、高い吟醸香と味のバランスがよく、調熟したときの魅力にはすばらしいものがある。香りよ
し、飲んでよしの吟醸酵母の元祖であり、各県で開発されている多様な吟醸酵母の母体でもある。

このくらいでいいでしょう。さて今月の一品は・・・


“神 亀” ひこ孫 純米吟醸


 “神 亀”(しんかめ)    埼玉県蓮田市馬込1978    神亀酒造(株) 

個人的には日本酒は基本的に口当たりがよく、フルーティーな香りと味がして、呑みやすく、それでいて
ボディーのしっかりした酒が好きなのですが、この神亀はいわゆる辛口でずっしりと重みのある深い酒。
とくに味の濃い肉料理や脂ののった焼き魚といった料理には代えのきかないほど、これほど合う酒は他に
無い感じ。いかにも純米という酒で、米の旨味の粋をそのまま飲んでいる感じ。食中酒として酒の力強さが
前の料理の味をきれいに洗い流してくれて、再び鮮やかな味覚が戻り、また新しいステージが始まる気分
にさせてくれる美酒。このままこれだけを飲むのは、ちょっときつい気がするんですが、焼肉、すき焼きに併
せるのはこれ以上の物はまず見当たらないといっても言い過ぎではない酒。冷やではもちろんですが、
“ぬる燗”でも美味。料理の邪魔をしない洗練された味。他にも純米生酒は神亀のなかではちょっと違った
クールな味わいでさらっとした美味さで本来、熟成した酒質を得意とするが、この酒は生酒らしいみずみず
しさと厚みのあるきれいな酸味が印象的。懐の深い味。純米活性にごり酒は発酵の際に出てくる炭酸ガス
を特殊な製法で瓶詰めし、チリチリとしたガスがシャンパンのように刺激的。冷やして食前にちょっと飲むと
最高の一品。美酒の会で次に肉料理があるときは、必ず持ってこようと思ってます。ぜひ美酒の会へ、ぜひ
神亀を。


 余談ではありますが、神亀酒造(株)は年間生産量がわずか400石。そして、そのすべてが“純米造り”
(昭和63年、全国で唯一、本邦初の全量純米造りを達成)でしっかりとした酒質で非常に定評のある酒蔵。
伝統の酒造りを守り続け、こつこつとその技術に磨きをかけ驚嘆すべき酒を造り上げ、本当の日本酒は地方
のまじめな蔵元の造る酒の中にあるという事実を多くの人達に認識させた功績のある蔵。これほどすばらしい
文化を維持してこられた、蔵元に尊敬の念を捧げ感謝したいと思っております。 
ぜひ美酒の会へ・・・   美酒の会  田代宏